Of Mice and Men

梅田サイファーのKZです。音楽とそれを取り巻く諸々について。

#アマチュア8耐 とは何だったか。 Written by KZ

マチュア8耐、ありがとう。どれも最高の夜でした。

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大阪の最後のMCで伝えましたが、

 

一人で、音楽を聴いてると、

この世界でこの曲は自分だけが好きなんじゃないかって

気がしてくる時があります。

こんなに素晴らしいのに、なんで誰も分からないんだって、

悲しく感じる時があります。

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俺も、そうでした。

それを救ってくれたのが、アマチュア華金で、

梅田のみんなで、pekoやんでした。

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好きな曲を皆で歌い、踊り、騒ぐ。

こんな幸せなことはないです。

なんで、幸せなのか、良く分からんけど。

あれが、音楽の力なんかな。

でも、あの甘美な多幸感を味わった人なら、どれぐらい幸せか

分かってくれると思います。

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俺が救われたように、誰かを救いたい。

その救われた人の顔をみてると、また俺は救われる。

クソみたいな平日の先に、そんな素晴らしい週末があるだけで

人生は輝きをますと、俺は思うんです。

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大阪での1回目の8耐が終わったあとに、俺はこんな「素晴らしい夜」が

あったんや、と感動しました。

全員、ハッピーで、勝ち負けなんかない、逆にもう全員が勝者、そんな夜でした。

あの夜を味わったあとに、ふと、「素晴らしい夜」を、まだ見ぬ人にもおすそ分けしたいと思いました。

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変な話、ブッキングを待っていても、誰もこんな馬鹿げたイベントをしないだろうし、

そもそも、この「素晴らしい夜」にイベントとして勝算を見出しペイできるのは、

また、pekoやんのDJ日本語ラップを心底信じれるのは、ツアーの前の時点じゃあ、世界で俺だけでした。

いろんな人に、「無理」「収支合わない」「誰がそんなイベントいくねん」って言われたの覚えてます。

でも、俺は「いける」って確信してました。

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それに仲間と二人で、知らない街にいって、初めて会ったお客さんをあげて

そしてお客さんの孤独を癒して、去る。

これが自分たちの自己満じゃなくて、ちゃんとツアーとして出来れば、

なんてかっこいいんだろうって思いました。なら、いっちょやるかって思い。

pekoやんにお願いして、口説いて、オーガナイズ全部俺がやるからって、OKをもらいました。

飯を食うためじゃなくて、遊ぶために、笑うために、情熱を注いで何かをするなんて、こんな人間らしいことない。

そうやって、始まった旅でした。

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19.2.13

最初の札幌の夜を思うと、今でも、俺は胸が甘くなります。

正直、一番お客さんが少ない夜でした。

ただ、その分、一人一人がより愛しくて、色濃い夜。

箱はMORROW ZONE。当たり前やけど、外はめっちゃ雪だらけでした。

そんな中、見ず知らずの俺らを信用して、集まってくれた人たちを見ると、

胸の深いところが熱くなりました。

大阪から乗り込んでくれた、愛すべき馬鹿野郎もいたし。

まっちゃんや、Jazaさんも来て、一緒に遊んでくれました。

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他にも宇多丸がかかるたびに俺と被せ合戦してくれたあの子や、

マチュア10周年の夜以来に、再会できた俺のファンの人もいた。

さらに、KZdoiをたくさんリクエストしてくれた子もいてた。

遠い街で俺らの音楽で誰かが踊ってるのをみるのが、

こんなに誇らしいことなんだって、教えてもらいました。

pekoやんと一緒に8時間立ち続けたお客さんもいて、なんて良い街なんだと思った。

そして、朝方のpekoやんの、素晴らしいルーティンが生まれた瞬間を

見れたことは、俺は一生忘れないし、立ち会えたことを誇りにと思う。

ありがとう、札幌。

札幌にいって、そして札幌が最初で、ほんとによかったです。

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19.1.25

2箇所目は福岡。箱はKieth Flack

箱のさんどろんさんや、地元のメグさんが一生懸命にサポートしてくれました。

俺らのバカな遊びに、たくさんフライヤーをまいてくれて、

あちこちにつながりを持たせてくれて、暖かさに感動しました。

去年の戦極18章のLIVEにて、俺がMCで「次は俺らのパーティーに来てくれ」って話した。

それをうけて、ただその一言を信じて、新潟から7時間以上かけて来てくれた子がいました。

今でも、その事を思うと目頭が熱くなる。ありがとう。

次は俺らが、会いにいけるように頑張らないとな。

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福岡の県外から来てくれた人もたくさんいたし、明け方すべりこんでくれた子とか、

逆に終電までなのに来てくれた人も。

ほんとに福岡は暖かくて優しい街でした。

タイトなスケジュールなぶん、優しさが身にしみました。

コペローにハッチもいて、俺もpekoやんも終始、笑顔だった。

ありがとう、福岡。次は、梅田のみんなで行きたい。

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19.2.1

3つめの東京。箱はBATICA

東京は、満員御礼でソールドアウトでした。

その後も熱意溢れる、メールが届き続け、pekoやんも俺も、まだ見ぬ東京の夜に期待感を感じてた。

当日は、移動のトラブルなどもありながら、当初の予定から数時間遅れ、開場の10分前に滑り込み。

その時に、箱の前に当日券を求める行列をみて、すげー嬉しくなった。

寒い中、みんなを並んでくれてありがとう。

東京から、スタート前にフロアにお客さんをいれて、音を流すようにした、

8時間一緒に立ちたいって稀有な人が少なくなかったから。

1曲が何か予想合戦から始まり、0時前にRも来てくれて、マジでハイの大合唱。

あの爆発は、俺もサイドについて、5本の指入る瞬間でした。

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まるで、地元のパーティかと思うほど、多くのお客さんがついてきてくれて

pekoやんも俺も、やる気に溢れてました。

東京のお客さんは、みんな遊び慣れてた。

オールドからニューまで、誰かは口ずさみ、クラシックはみんなで被せあい。

さらに、朝方の「LONELY NIGHTS」の大合唱は、美しかった。

十数年前、日本語ラップが「踊れない」と忌み嫌われていたあのフロアから、

ここまで長い旅だったなと、ジーンとしました。

終わった後も、多くの人が熱冷めず、物販で今日の感想と

たくさんのありがとうをくれました。

こっちがありがとうやのに、東京。ほんまに、ありがとう!

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19.2.16

そして、ラストは大阪。箱は幾多の夜を過ごしてきた、愛すべきnoon

前売りの時点で200人をこえる、押すな押すなの大盛況で拍手喝采が間違いない夜になった。

それでも、pekoやんは細かくセット作ってきて、その真摯さにまたpekoやんが好きになりました。

ゼロ年代初頭の隠れた名曲や、黒いHIPHOPなど、盛り上がりが難しい選曲も丁寧につないでいき、

0時ごろからの過去一のあの爆発を迎えました。

「マジでハイ」の時はフロアが揺れすぎて、2回も針飛びしたし、みんなの湿気と熱気で壁は汗かいて、

天井からは水滴が落ちてくるって言う、凄まじい興奮と歓喜でした。

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その後のTシャツを絡めたルーティンや、「Jackin' 4 Beats」のルーティン、どの場面を切り取っても名場面でした。

ほとんどのお客さんが、10時間を共に遊ぼうと19時から来てくれて、

馴染みのメンツは、アマチュアらしくバーカンで大盛り上がりを見せてくれた。

トイレに行くときに、フロア、バーカンを横目にしたけど、

見る人見る人、全員が幸せそうで、胸が甘くなりました。

5万もバーカンに突っ込んだコペローは男やし、

初めて見たベロベロでファニーなふぁんくには爆笑させてもらったし、

覇世くんとケントくんも相変わらずの飲みっぷりでマンデーアマチュアを思い出したし、

ドイケンやジークレはここぞとばかりサイドにて助けてくれたし、

ハッチはライブペイントにて「静脈にレコード針打ちます」を描いてくれたし、

ガガもコーラも最後まで遊びきってくれた。俺は良い仲間に恵まれたと、心底思った。

あと、フロアで熱い絡みを見せる男女がいました。

人目憚らずに、ガンガンな二人をみて「おっぱじめとんな!」って笑いながら舞台から見てた。

後日、いろんな人からの話を聞くと、どうやら二人はもともと一人ずつのお客さんで来てたっぽく、

東京に続き、また8耐をもって愛が生まれてた様子。

しかし、あんなチャラ箱みたいな光景がアマチュアであるなんて、最高に笑かしてもらった。

そして、明け方のエモーショナルになっていくなか、pekoやんは疲労困憊になっていってた。

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4都市もまわると大体、今どんな感じか顔を覗けば分かるけど、

あのラスト1時間ぐらいは、ほんまにしんどそうでした。

たまに背中さすると、ぐっといけるって顔返してくれて、

次の曲をセットする様をみて、その姿勢に泣けてきた。

こうなることも予測して、緻密にセット組んで来たんかとか、各都市の思い出とかが巡ってきて、

しかも前列には、あの札幌の孤軍奮闘した夜に来てくれてたファンの子もいて、余計に目頭が熱くなった。

あくまで主役はpekoやんやし、俺は補助でサイドMC、「pekoやんが泣いてないのに俺が泣くのもちゃうやろ」って思い、

涙をこらえながら、最後の曲までフロアを煽った。

10時間前にpekoやんは、もう最後の曲決めてるって言ってた。

俺も、どの曲か聞かんでも実はわかってた、12年前から、俺らのパーティーの最後の最後にかかる曲はいつもあれやった。

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どの街でも、終わる瞬間に「帰りたくない」って心底思った。

 

LONELY NIGHTS」を全員で大合唱する瞬間、

答えはわかってるのに「上がってるか下がってるか」フロアに聴く瞬間、

クラウチングロケット」で笑い転げる俺ら、

若くして亡くなった天才の冥福を祈るとき、

誰も上がらんなか、たった一人でも上がってまうお客さんを舞台から見つけたときの愛しさ、

俺の曲で、仲間の曲で、フロアがマジでハイなときの高揚感、

 

たかが音楽をみんなで聞くだけやのに、なんでこんなに胸が甘くなるんやろう。

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俺は、ほとんどのお客さんの名前は知らないです。でも、たぶん愛してます。

良い人も悪い人もいるんやろうけど、日本語ラップが好きな仲間って1点は揺るがない。

この先、いろんなことがあっても、この4回の夜の素晴らしさ、価値は微塵も変わらない。

また、平日に戻って、「理解者がおらん、寂しいな」って思ったら、この夜を思い返してください。

そして、記憶が美化されてるだけちゃうかって疑ったら、また俺らのパーティに来て確かめてください。

俺らは、歳を重ねても変わらない笑顔でいるんで、また一緒に笑って騒いで歌って、遊びましょう。

 

最後にマイメンpekoに、最大の感謝とリスペクトを。

pekoやんが日本一のDJです、どこの誰が一晩もDJして、お客さんを踊らし続けれるねん。

嘘やろと思うなら、アマチュア華金に来て、確かめてくれ。

優しくて、愛に満ち溢れてて、カッコいい、最高のDJを見に来てくれ。

 

さぁ、pekoやんも俺も、また次へ進みます。

同じ夜がまた廻るように願ってます。

週末から週末へ「ダンスは続いていく」。

そっちのペースでいいから、俺らとまた遊ぼうな。


KZ - ダンスは続いていく(prod. ONGR) (Official Music Video)

 

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『俺が狂ったのは』Written by peko

1晩8時間1人で日本語ラップだけでDJをする。
この嘘みたいなことを札幌、福岡、東京の3箇所でやり切って明日はホームの梅田NOONに帰ってくる。

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このツアーの提案をKZの口から聞いた時、
「いや、無理やろ・・・」って思ったのが本音だった。
体力的にも、収益的にもかなり厳しいものと感じた。

俺は自分のDJプレイには自信がある。ただ、自信があることと集客は別の話。
このイベントは俺のワンマンに近い。というか、DJとしては正真正銘のワンマンだ。
バトルでついただけの知名度で引っ張れるほどこの業界が甘くないことはよく知ってる。
俺とKZにはレーベルも事務所もスポンサーもない、後ろ盾なしでやるから大赤字もあり得る。

心強い仲間といつも来てくれるお客さんはいるけど、それはあくまでホームの話。
他県で箱を一晩借りて、1人でDJして、集客して、8時間盛り上げるというのはかなりハードルが高く思える。さらに内容が日本語ラップに振り切ってるので、ホームの梅田のように上手くいくとは微塵も思えなかった。

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けれどもKZは「いけると思う」とさらっと、笑いながら言ってくる。
本当狂ってやがるな、こいつ。
けどこんな狂ったこと提案してくれるのこいつしかいない。
よく考えれば、梅田で12年音楽をやってきたけど、
みんな内に向けてずっとずっとやってきた。
その環境に甘えてか、年々保守派が増えてる自分の周り。
そういや、身内が褒めてくれるのに甘えんのはもうやめようと決めたんだった。
攻めの姿勢を見せる上でも俺とKZのタッグは一番いいとも思った。
オファー内容をもう一回確認して腹くくってやることを決めた。

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宣伝開始から少しずつ予約が増えて来るのを見て、各地に同じものが好きな人が居てて、応援してくれる人が少なからずおるんやなって実感できたのは救いだった。
それでもやっぱり札幌、福岡、東京の各会場のオープン前、今まで味わったことのない緊張で初めてDJプレイをする前に手が震えた。
なんせ、滑ったらその後8時間滑りっぱなしなわけやからな、怖いよそりゃ。

そんな時、般若さんの武道館講演のあるMCを思い出した。内容は言わないけど、俺の心に永遠に残ると思う言葉だった。あの大舞台に立つ人でさえも戦う局面がある。
俺みたいな失うもんがない奴が守ってたらあかんってもう一回言い聞かせて、ブースに立った。

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針を落として音が鳴り始めてみれば、どの会場でも不思議と緊張はパッとなくなって。
少しずつフロアに人が増えて来るのを見ると気持ちも上がっていつも通り、いや、いつも以上に自分らしくできた。
それは全て、お客さんのお陰。俺がブースから見た景色は梅田NOON、心斎橋STOMPで俺たちが作ってきた空間のそれと同じだったから。
知らない顔が多数いる中でも、おんなじ遊び方してて、日本語ラップって共通言語でここまで一体化できんのか〜と感動したっす。
いつもと別の場所やのにいつも来てくれる仲間の顔が見えたりして、それも心底幸せな気持ちになった。
安くないお金払って遠くまでありがとうな。
来てくれたお客さんや関係者の皆さんにここで感謝を記します。ありがとう。

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俺はよくDJ / トラックメイク / ラップどれが本職なんですか?って聞かれるんですがどれが本職とかはなくって、どれをやっても自分になることを心がけてます。
けれども、どれが一番楽しいか?って聞かれたらDJをやってる時かも。
仲間の曲が知らない土地で知られてるのを見れたり、知らない曲を聞いて仲間がPC画面を目キラキラさせながら見に来たり、多分一人で来てる子が一生懸命口ずさんでるのを見てホンマに好きなんやって思ったり、同じ曲で何百人もが一体化したり、同じ曲で涙流したり、これまでに色んな幸せな瞬間が見れたからだと思います。
同時にまだまだ探求しないといけないと反省点もあって、
もっと上手くなりたいと思わされる3箇所でもありました。
これから先の自分に期待しててください。

 

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最後になったけど、今回のツアーの立役者KZにまず感謝を伝えたい。
クラブとのやり取り、ツアーグッズの制作、金銭面の管理、交通手段の手配、
「pekoやんはDJに集中して」って言ってその全てをKZがやってくれた。
彼はその間にもアルバムを出したり、正直ワーカホリックすぎて体が3つあるのではないかと思うぐらいだけど、
とにかく俺のために色々動いてくれて本当にありがとう。
こんな保証のない大博打、俺を信じて賭けてくれるやつが居るなんて幸せだ。

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今回のツアーポスター、フライヤー、グッズの全てのデザインはHatchにお願いした。
マチュアナイトの入りやすさを体現するようなデザインを作ってくれた。
いつもナイスなデザイン、早い仕事ありがとう。

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そして8時間の間HOST MCをするというのもまた鬼畜の所業。
ノリだけで3箇所参戦してくれたKOPERU、
福岡、東京と2箇所参加してくれたOSCA、
忙しい中きてくれたR-指定に感謝を記したい。

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明日の10時間は今日までの俺の全部です。
全てをそこに注ぎます。
楽しみにして来てください。

明日、NOONで、待ってます。

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peko

決意 -後編- Written by KBD

3章「stand up Umeda」

 

かくして、梅田サイファ 3枚目のアルバム制作が始まった。

ミーティングの結果、アルバムのコンセプトとして「アグレッシブさ」「外を向く」。

この二つを意識することになった。

振り返って見れば作品を作る動機として1枚目の「See Ya At The Footbridge」は中心人物であるKZが横浜に引っ越すタイミングで、メンバーの多くに分岐点が訪れており、離れてしまう前にみんなで作品として形にしたいというものだったし、

2枚目の「UCDFBR sampler Vol.2」は再会したメンバーたちが、DFBRで再び共に音楽ができる喜びを詰め込んだ作品で、どちらも程度の差はあれ、スタンスとして自分たちが楽しめること、おもしろいと思うことに重点がおかれており、今回のように外に向かって発信しようというのは初めての試みだった。

ひとまず、自分たちで賄うことがある種の美徳だったこだわりを捨て、今回はより多くの人に協力を求め、より多くの人に聴いてもらうことを意識することとなった。

トラックに関しても、これまではメンバーかごく近しい人間からのものを採用していたの対し、今回はクオリティのためならば外注のビートも進んで採用するという方針だ。

今回、まとめ役として意欲を見せたガガが務めることになったが、初っ端のメンバーの招集から問題は少なくなかった。

メジャーアーティストとなり、東京で多忙な日々を送るR-指定の他、メンバーの多くは散り散りになって各々のスタンスで活動および生活を送っている。

これをどうやってまとめるか困難が予想された。

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ガガが一人一人に連絡を取ってくれたものの思うようにはいかない

立ち上げから2週間ほどしたある時、段取りのミスが起こり、重要なミーティングにもかかわらず、参加者に内容の伝達がなされてない事が発生した。

その他にもいくつかの不手際が重なっていたため当日は不満が紛糾されることが予想された。

心配なので当日、ガガに一本電話を入れ状況を確認した上で、継続の意思を問うと「大丈夫です!」と力強く返ってきた。

「さすがガガ打たれ強いな」と安心し、その日のミーティングへ向かう。

歩道橋でふぁんく、KZと合流して先に打ち合わせをしていると、ガガが現れる。

事情の説明の後、苛立ちを隠せない二人から「やっぱりまとめんのちょっと無理なんちゃう?」と聞かれ、ガガが真っ直ぐこちらを見て言い返した。

 

「僕もそう思います」

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全員がずっこけた。

俺は俺で「さっきの電話、何やってん」と苦笑いした。

立ち上がりから2週間、早くもアルバム制作は暗礁に乗り上げる。

 

これはガガの問題もあるが、多くのメンバーのスケジュールを調整しプランを練り上げプロジェクトを進めて行くのは並大抵のことではなかった。

当初から「計画がポシャったら車売るくらいの覚悟でやってな」という念押しがあったため「車を売ってトラックを買う」ってリリックかけるやんとキツイいじりが入る。

結局、やはり舵をとれるのはKZしかいないという結論となり、ここから本格的に制作が始まっていく。

KZからは「やるからにはちゃんとしたものを作りたい。だから付き合いが長い人間でも、積極的に参加できない人は遠慮してもらいたい」と要望を述べた。

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ある程度の曲のテーマが決まった段階で、前々から面識のあったコーサク氏のスタジオでレコーディングを行うこととなった。

最初に作り始めたのは「決意」「ゼンボーレノン」「明日がある」「New Basic」の4曲。

特に「決意」と「ゼンボーレノン」は今回のアルバムのコンセプトを色濃く反映した楽曲で、制作は順調に進んだ。

「決意」は前編にあったような状況から抜け出るため、外へ踏み出す心境を歌ったものだし、「ゼンボーレノン」もこれまで輪の内側を耕すことを良しとしていた自分たちが、外へ打って出て「全ていただく」ことをテーマとした曲で、どちらもフック、バース、構成ともに早い段階で完成を見た。

 

 

 

対照的に他の曲はなかなか落とし所が見つからず、「明日がある」はhookが決まらず、「New Basic」に関してはテーマの広さからか、各々が自由にイメージを膨らませすぎた結果、混沌とした世界観を展開され仕上がりにはもう少しの時間を要した。

まだまだ先は長い。

しかしながら、参加者たちの顔には新たな音源を共に作り上げる喜びが見え、ゆっくりではあるが再び歩みを始めたのであった。

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4章「逆転のオセロ」

 

810日。深夜の高速道路を、帰省ラッシュに逆行するように東京へ向かう車。

窓の外をオレンジの街路灯の残像が流れていく。

車内にはふぁんく、KZ、鉄兵、俺。

行先はお台場、ダイバーシティ

MC正社員からのブッキングで戦極18章のライブとバトルに向かうところだった。

MCばかりが乗り合わせているのにもかかわらず、音楽の類はほとんど流れなかった。

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盆休みの最初ということもあり連休の過ごし方や、クルー対決となった先日のUMBでの話、仕事の近況など、リラックスした空気の中、会話が弾む。

BADHOPBARKのモノマネがヘビロテされる中、やがて車は名古屋に到着し、ガガと合流。

この時のガガは、全員が心配になるほど疲れきっていた。

いつものイジリや、振りをしても何のリアクションも無い。

持ち前の天真爛漫さや、脳天気ぶりはなく、明らかに仕事の激務が彼の人間性を失わせていた。

KZが「たまこうとガガ、何とか救ってやれないですかね」と呟いていたのが印象的だ。

少しずつ東京に近づくにつれ、渋滞に巻き込まれる。

余裕を持ってスケジューリングしたはずだが、到着した頃にはもう朝日が上がっていた。

毎度のことながら、遠征はあっという間だ。

仮眠、軽く朝食、打ち合わせからリハスタ。

観光を楽しむ余裕もない。

たまこう、peko、ドイケンたちと合流し、車でケツメイシの「夏の思い出」をうろ覚えで合唱しながらダイバーシティに到着。

楽屋に荷物を置き、ステージを下見。

その規模の大きさに驚く。

この客席が埋まればどれほどの熱と圧が生まれるのか想像し震えた

リハーサル終わり、たくさんの出演者と挨拶を済まし、近くのラーメン屋にドイケンと行列にならんで入る。

博多ラーメンをすすりながら、誰が優勝するかなどで盛り上がってるうちオープンの時刻が迫っていることに気づく。(ちなみに、優勝予想は俺がCIMAでドイケンはふぁんくだった。)

そして本番。UZIさんのナレーションから戦いの火蓋が切って落とされる。

現役バリバリのトップスターから、レジェンド、影の実力者、フレッシュなニューカマー、全員がゲスト級の確かな実力の持ち主ばかり。

時にMC正社員という人は時にその実績とキャラクターから「金儲け」だの「フェイク」だの「カリスマロリコン」だの揶揄されるが(最後のは俺だけか)、この男の尊敬できるのは常に全力でやりたいことを戦極にブチ込む所だ。

その瞬間瞬間で最も強く、最もフレッシュで、最も光ってるMCを起用する。

もちろん、勝算がある上でのブッキングではあるのだろうが、定期的にあの規模でこれだけのキャスティングをやり続けるオーガナイザーを俺は他に知らない。

その中に、自分たちがあの日目にしたかつての実力者たちもしっかりと含めているのが正社員氏の人情味が感じられるところでもある。

次々と、名勝負が繰り広げられ上がっていくボルテージ。

自分たちの出番が近づいていく。

正直、不安は大きかった。

他のライブ出演者を見るとAKLOさん、呂布カルマ君、SIMON JAPさん、Blue Berry Jamなどこれまた今のシーンを騒がしているMCばかり。

この数週間、何度もスタジオに入り練習を重ねたものの、本番としては約半年ぶり、しかも2000人と対峙する復帰戦となる。

やがて、時間になる。舞台袖で集まり円陣を組み、いつものふざけた掛け声で緊張を解す。俺らの前は呂布カルマ君。圧巻のステージングだった。

舞台の上に独特の残り香。

スタッフの方からワイヤレスのマイクを受け取る。

不意にさっきのバトル終わりでKZが客席にシャウトした言葉が思い出された。

「梅田サイファーでベストバウト作りにきた」

間違いない。俺らの出番だ。

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行こう。

 

ステージが暗転し、ピンスポットの照明の中にドイケンが立ち、pekoのビートボックスの上、口火を切った。

ドイケンもまた、この数年、環境の変化に振り回されたであろうMCだ。

2ndの頃、DFBRに毎週のように通っていた彼も、就職や様々なプライベートの事情で以前ほどは活動できなくなっていた。

直前のリハでは不安を口にしていたが、マイクを握りパフォーマンスをした瞬間杞憂だったと分かる。

ドイケンからKenny Doesへ。糸目の朴訥そうな青年が信じられないくらいキレキレのフロウをかます

分かるかなオーディエンス、これが梅田サイファーだ。

軽く挨拶と言わんばかりにそのまま「ゼンボーレノン」へ。金か、名声か、尊敬か女か、生活か。何か一つじゃない。俺たちは音楽で全ていただきにきた。

徐々に自分たちの空気を作りながら場の熱を上げていく。

続いて「一網打尽 Remix」。
イントロからオーディエンスが沸き立つ。
鉄兵のグルービーなフロウと、ガガのイルさ、たまこぅのリリカルなバースが展開され、1バースだけで十分な存在感を示す。

この曲には何度も助けられた。

どのイベントでも鉄板で盛り上がる。

同じタイミングで少しの悔しさを感じていた。

やはりリミックスはリミックスで、自分たちが一から作り上げたものではないからだ。

先輩達の大きさを実感しつつ、今回のアルバムは負けない曲を作りたい。

フックでの盛り上がりを見ながらそう思った。

そして、最後の曲。

KZがステージの最前列へ進む。

限りなく客席と近い位置に立つ。

アルバムを作っていること、そしてそのアルバムで、自分たちの状況、シーンごとひっくり返すと宣言する。

先程までの盛り上がりに比べると控えめな反応。

別に構わなかった。

この無関心をひっくり返すものを作る、いや作ってる自負があった。

その意思を込めてラストの「決意」へ。

歌いきる。

袖に戻った全員の顔に笑顔が浮かぶ。やり切ったんじゃないか。

もちろん、感想は様々だろう。

ましてや2000人もいるのだ。

ライブの成果とは一概に盛り上がりだけでは測れない。

手が上がっていれれば、声が上がれば、もうそんな次元では戦ってはいないのだ。

ただ、それでも少なくない数のオーディエンスに届くステージができた手ごたえはあった。

控え室に戻りながら、多くのMCと拳を合わせたの覚えている。

バトルはこの日尻上がりに調子を上げていったMC漢氏が優勝。

決勝の呂布カルマ戦を舞台袖から見ていて、戦い続ける先輩の大きさにやられた。

B BOY PARKで優勝した時からのファンだった俺には、とんでもなくドラマティックな幕切れだったのだ。

帰りの車、イベントを回想し、今回の遠征で得たものは小さくないぞと噛み締めた。

行きとは別人のように活力に満ちたガガを見て、音楽の偉大さを再度、実感したのだった。

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5章「あの日の夜を追い越して」

戦極が終わり、ここから制作は後半戦に入っいく。

Jazadocument氏のトラックを使用した「風向き」のレコーディングが快調に進む。

盆休みに来ていたタウさんが、相変わらずのキレキレのラップで暴れまくる「Runnin'」など次々と曲が出来ていく。

散らかりまくっていた「New Basic」もこの混沌さを逆に活かすという方向で、複数のhookを採用しつつ2分割することで楽曲としてまとまった。
またコッペパンによる「OSAKA ANZEN UNTEN」。
BAD HOP
の「Kawasaki Drift」からインスピレーションを受けた本作だが、きっかけはRとテークの駄話からだと言う。

日常の何気ない会話や悪ノリが、リリックに昇華されるのは実に自分たちらしいなと思った。

グループ LINEに取り終えたラフミックスの音源が上がるたびに心が色めきだつ。

作品が徐々に輪郭を表す。

ミックスを終えるごとに少しずつそのディティールが鮮明に浮かび始めた。

曲の数だけそれに付随したストーリーがあった。正直、全曲に思い入れがある。

「決意」は前編で語ったような何ともいいがたい閉塞感を打ち破るために生まれたが、

一方で「マジでハイ」はそれを打ち破るようなカタルシスに満ちた曲だ。

いつかこういう曲を作りたいと思っており、プロジェクト当初からこの曲の構想はあった。

LIBRO氏に送られていた、いくつかのサンプルトラックの中で一際輝いて聴こえ

各々のリリックが仕上がり送られてきた時点で、ゾクゾクするような期待感に襲われたのを覚えている。

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ただ今回、曲に付随した思い出として色濃いのは「エピソード」という曲である。

ご存知の方もいらっしゃるかと思うが、このアルバムの制作中、元コッペパンのメンバーでもあったペッペBOMBが亡くなった。
早すぎる死。

KZから電話で悲報を受けた時に、頭が真っ白になった。

大概のことは笑い飛ばせる性分の我々だが、この時ばかりは、ただただ打ちのめされた。

通夜にはほとんどの梅田サイファーにまつわる関係者たちが集まった。

こんなタイミングで揃いたくはなかったのが正直な感想だ。

帰りの電車の蒸し暑さと対象的に心は寒々しくぽっかりと穴があいたような感覚。

いつまでも一緒にいられる。

離れていても、いつかまた会える日が来る。

そんなことばかりではないのだなと歯噛みする。

同じような日々の繰り返しに見えても、いつだってその瞬間瞬間は二度とこない。

やれることはやれる間に。

ペッペの分も今回のアルバムは作り切らねばと思ったタイミングだった。

夏の終わりに近く頃、ペッペの追悼曲を作ろうという話が持ち上がった。

セールスや目玉にしようと言うような下衆な考えではない。

何かの形で、ペッペへの葬いを果たしたい、それだけだった。

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ただ、この追悼曲を作りアルバムに加えることを躊躇する事情があった。

テークエムのことである。

諸々の事情で今回はテークはアルバムへの不参加が決定していた。

一番と言ってもいいペッペの古い友人だったテークが参加できないまま、曲を作っていいのか。

俺は最後まで首を縦に振れなかった。

何度も議論が重ねられた。

自身が主催していたオーバーザトップというMCバトルでKZと珍しくふざけずピースでもない戦いをして意見をぶつけたこともあった。

KZは揺るがなかった。

仲間と一緒にいられなくても、犠牲を払ってでも前に進む。

それが結論だった。

それはかつて輪の中やDFBRというあまりにも暖かい空間に留まりすぎて、歩みを止めてしまった過去から学んだ教訓だった。

出来上がった曲を聴くと、色々な思いが交錯する。全員がペッペへの哀悼の意をこめた渾身のバースだが、特にparsecとして後期クルーを組んていたコーラのバースは、この数年の彼の成長を感じさせるもので深く胸を打つ。

自分たちの決断が正しかったことなのか。

それはこれから決まるんだと思う。

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アルバムのほとんどの曲が出来上がった時点でタイトルの話が持ち上がり、Kennyからそういえば過去、アルバムのタイトル曲ってまだ作ったことないなと言う話題になった。

すでにコーサク君のビートでKennyがソロを作ることは決定していたので、それをタイトル曲にすることとなった。タイトルは「Never Get Old」。

不朽の名作を作りたいと言う意気込みと、10年以上も活動を続けてきたサイファーがこれまでも朽ちずやり続けるという思いが表されたタイトルだった。

この曲が出来上がった時に最後のピースがはまった気がした。

全曲を何度も並び替えて仕上げていく。見事な構成力を持つpekoの助言で、アルバムの曲順が決まり、通して聴いてみた時に確信した。

 

「最高傑作できた」

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6章「Represent Umeda NO.1 player

 

年が明け、2019 1/5

アルバムを完成させた俺たちは、心斎橋のサンホールにいた。

Hall Earth Drive

古くからの知り合いであるオーガナイザーであるしゅがぁのイベントである。

このイベントのブッキングは実はアルバムの制作に入る前より受けており、BASIさんやglitsmotel、タイマンチーズなど錚々たるメンツからも彼のこのイベントにかける並々ならぬ思いが見てとれた。

彼の熱意に応える意味でも、現状のベストメンバーで一番高いクオリティでライブする、前年の春先からずっとこの日を梅田サイファー アルバム曲解禁の日と見据えて過ごしてきた。

そして、その時が来た。

戦極の時と違い、不安はなかった。

実はこの日、リハーサルから機材の問題なのでスムーズに音が出なかったり、自分も含めMCの中にも体調を壊してるものを何名かいた。

それでも不安はない。このメンツがいれば何も怖くない。そう思えた。

いつものようにふざけた円陣からステージへ向かっていく。

1曲目から「マジでハイ」。

この時点ではPVは上がっておらず、アルバムもまだ世には出ていなかったので正真正銘初のお披露目となる。

Rのアカペラからビートが鳴り、1人目のKZのバースへ。

しかし、全員がすぐに違和感に気づく。ビートが遅いのだ。

仕切り直し。

しかし、二度目も上手くいかない。

新しくDJになってもらったSPI-K君の表情に焦りの色が見える。

「おいおい.大丈夫か」

そんな空気が客席から伝わる。

ここまでは準備運動だとRが見事なトークで場を和ませる。

この辺りは流石のステージ慣れだ。

実際、ここで空気を掴み損ね、白けたまま25分を使い果たす可能性も無くはなかった。

そして3回目のアカペラ。

もうしくじることはできなかった。

いけた。

ちゃんとしたBPMでビートが流れ出す。

幸か不幸か三度のアカペラのおかげで、フックもお客に覚えてもらえ、フロア全体が湧き上がった。

続いて「ゼンボーレノン」、そして「Kawasaki drift」を流してBADHOPに成り切るという悪ノリから「OSAKA ANZEN U NTEN」へと繋がっていく。

実際この日、一番オーディエンスをロックしたのはこの曲だったと思う。

 

シーンの内外に「梅田サイファー」いう名前がこれだけ広まったことは、RKOPERUの華とスター性と発信力抜きでは語れないだろう。そして、どれだけ有名になろうとも変わらない接し方に彼らの人間性が垣間見える。

 

抜群のコンビネーションを見ながら、数年前同じサンホールであった超ライブでのドッキリを思い出す。

内容としては水面下では決定していた活動休止を当日、舞台上で観客とともにドイケンに知らせるというものだった。

あの時のドイケンの呆然とした顔が思い出される。

あのドッキリの裏には、コペルとRからの「コッペパンから離れ、自分で何かをやり初めて大きくなって欲しい」というある種の親心があった。

実際その後、「KZ and doiken」を組み始め、ソロや様々なfeatを経てドイケンは梅田サイファー 指折りのプレイヤーとなり、R、コペルに全く引けを取らない堂々としたステージングをみせている。

実に感慨深かった。

「風向き」でガラリと空気を変え、最後の曲「決意」へ。

客席の多くが拳をかかげている。

数ヶ月前の公園でのやり取りが思い出される。

「また梅田でアルバムが作れるか」

作れた。

各々がやれることをした。

生活にくたびれサイファー や現場から離れていた間も、頭の中に梅田の存在や音楽があった。

少なくても自分自身、ラップや梅田のことを考えない日はなかった。それでも結果的に疎遠となり色々な人に失望させたことを恥じた。

もう二度と「クソッタレ梅田」と思わせてはいけない。バースの途中嬉しそうに中指を立てるKZを見てそう思った。

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拍手に包まれて舞台袖へ引っ込む。このイベントを一つの指針として走って来て良かった。そう思えるライブだった。

ちょうど自分たちの次の出番が神門さんで、これまた素晴らしいライブだった。

11月の華金でのエールという曲のこんな一節に食らわされたのを思い出す。

 

「あらゆる世界でくすぶっている人たちよ。

いいものを作ろう」

  

イベントが終わり「Bar IPPUKU」にてリスニングパーティーを行った。

多くの友人や後輩たちと出来上がった作品を聴きながら、改めて自分の中で梅田サイファーがどれだけ大きい存在か実感する。

楽しげに話す姿を見て、ふと思い出す。

何故、家族仕事と音楽を切り離してきた俺が自分の結婚式に、梅田のみんなを招待したか。

この人たちを仲間と呼べないなら、もうこの先、自分が他人と友好を結ぶことなんて許されないと思ったからだ。

かくして、梅田サイファ 3rd ALBUMNever Get Old 」は完成した。この作品を作る過程でみんな活気を取り戻していった。

MCがリリックを生み出すと同時に、リリックがまたMCを生かすこともあるのだ。

だが、これで、めでたしめでたしじゃない。むしろ、ここからだ。

外を向いてこの先に歩を進める。

さぁ、未来を青く塗り替えろ。

 

決意 -前編- Written by KBD

1章 クソッタレ梅田

「今の梅田サイファー 、ダメや思うんですよ」
思い返せば、新しいアルバム「Never Get Old」の製作は、KZのこんな一言から始まったように思う。

5月の初め、GWの中盤戦。
「俺たち」は中之島の公園にいた。
酒盛り、サイファー、下ネタ、お決まりのギャグ、近況報告に音楽論のぶつけ合い。
いつものノリにいつものメンツ。
古くからの梅田サイファーに参加していたMC、またその知友。
同じイベントで一緒になる若手たちや、またその知友。
10年前に梅田サイファーが始まってから、随分と自分たちを取り巻く状況は変わったと思う。

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大阪のシーンの中心地とも言えるアメ村から、少し距離をおいた梅田歩道橋で小さな円を作っていたあの頃と違い、MCも、それ以外のジャンルのクリエイターも、ヘッズも、友人も最早どこまでが身内かわからないくらいの数になっている。
何も派閥や集客のために身内を増やしたのではない。
幾多のイベントやDFBRや704での日々を過ごしているうちに、輪から派生していったコネクションは、それなり大きなものになりつつあり、疎外感や異端扱いされることも減っていった。
自分も一番最初から参加しているわけではないので、最古参のMCたちはもっとその変化を感じているだろう。

やがて終電が近づき、ポツリポツリと帰り始める者が出始めた頃、KZと俺は、ワインの回し飲みをする乱痴気騒ぎの輪から離れて、二人で公園のベンチに腰掛けていた。
DFBRに行くことが減ってから、久しぶりに二人で話す。
珍しくふざけず、真剣な話をしたように思う。
最近の仕事や家庭のこと。ただ、気がつくとヒップホップの話になっているのは、つくづくこの文化が、自分たちの生活の一部になっているのかを思い知らされる。
シーンやイベントの話をしているうち、少しずつ梅田サイファーの今後の話になっていった。

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前述した通り、梅田サイファーとは、自然発生的に集まっていった集団で、特に明確なメンバーの区切りや活動指針を設けているわけではない。
ただ、活動に意欲的な人間が企画を打ち出した際に、希望するMCたちが、音源やイベントに参加するというような形で、これまで続けてきた。
逆に言えばこの時、今後の話をしなくてはいけないほど、梅田サイファーは分岐点を迎えていたといえる。
規模の差はあれど、ライブや音源リリースなど精力的に活動を続ける人間がいる一方、家庭や仕事に重点を置き、音楽活動はほどほど、または全くしていないという人間も少なくなかった。
そういえば、今日の集まりも、いつものメンツであるが、久しぶりに会うやつもいっぱいおるなとこの時気づく。
そもそも「梅田サイファー 」という名を掲げていながら、最早、梅田歩道橋で昔のメンバーが、みんな集まることは滅多になくなっていた。

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「今の梅田サイファー 、ダメや思うんですよ」
「この先、何もせんままズルズル続いていくんやろうな」
「俺らの名前聞くだけで敬遠する層も少なからずいる」
「自分がこのまま何となくまとめてていいのか?」
「友達としてならともかく音楽を通じて一緒に遊べなくなる気がする」

KZの口から辛辣な言葉が続く。
笑いながら話してはいたが、葛藤が見え隠れしていたように見えた。
不思議と、怒りも悲しみの感情も浮かんでこなかった。あったのはこんなことを、彼に言わせてしまった無力感。
正直俺は、KZほど梅田サイファーを大事にしている男を知らない。
いつだって何かをしようと口火を切り、プロジェクトを進めてきたのは彼だったし、自分たちの持ってる共通認識は、彼の思想が多分に含まれていると思う。
ここ数年、着々とリリースとライブを増やしてきた彼だからこそ、今の梅田に言えることだった。

最後の方にこんな問いがあった。

「またアルバム作れる思います?」

答えに詰まった。
この頃、自分はというと、前の年に家庭を持ち、仕事もちょうど繁忙期に突入したこともあり、MCとしての活動は月2回くらいのイベント出演と、ボチボチとソロ音源を作るくらいになっており、またそのペースくらいが今の生活を維持できるギリギリのバランスだと思っていた。
軽い返事はできない。
安請け合いで計画が頓挫した時、動き出すにはまた長い時間がかかるだろうし、最悪の場合、このコミュニティが終わりを迎える可能性すらあるのだ。

「んー、、できるん、ちゃいますかね?」
歯切れ悪く答える。うまく笑えていたのか自信がない。
結局、その日は「華金にICE BAHNか真田人を呼びたい」みたいな恒例の展開で終わった。
終電を逃して帰り道、茫とした感覚が自分を支配していた。

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2章 生暖かい狭い世界

この出来事と、もう一つ自分の中で忘れられない夜があった。
多分、さっきの公園での話の2日後くらいだったと思う。
久しぶりに梅田でサイファーをやろうということになって、急遽日曜日の夜歩道橋に集まることになった。
予定時刻より少し遅れて到着すると、KZとふぁんくとコーラが来ていて、すでにサイファーが始まっていた。
やがてRやドイケンも合流。
正直、ワクワクが止まらなかった。
個人的に良いサイファーに必要なのは、輪の数や人数の多さではなく、濃さだと思っている。
あの日のメンツであの日のノリが返ってくると胸が高鳴った。
次々とトピックが切り替わり、やがて話題は最近見た漫画や映画の話に。
内容を話したい思いが先行し、ライムやリズム取りより、少しずつ喋りに近いフロウになっていき、井戸端会議のような緩いやり取りが続いていた中、ふぁんくが切り出した。

「何のフロウもライムもないただのおもんないお喋りするんが梅田サイファーか?違うやろ?どこよりもスキルフルで、どこよりもおもろいフリースタイルするんが梅田のラップや」
「仕事や家庭なんか言い訳にならへん。みんながついてこれんなら、俺は一人でもやる」
そんな趣旨のバースだった。

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普段見せるコミカルなスタイルの裏で、ふぁんくというMCは誰よりも気高く孤高とも言える独自の哲学を持っている男だ。
本人は否定するかもしれないが、俺の目にはこの日のバースはふぁんくの感情が迸っていたように見えた。
浮かんでいたライムが吹っ飛ぶくらい、只々かっこよく、只々悔しかった。
嫁との約束もあり、その後何バースが蹴った後、家路に着く。
電車に乗り込み、先程のふぁんくの鬼気迫るラップを思い出した。

自分の懶惰を恥じた。
どこかで環境を言い訳にして、自分の成長やこれ以上のキャリアを諦めていたのではないか。
誰よりもかましてやる、そんな気持ちで臨んでいた初志はどこにいった。
このまま、いつまでも緩く遊んでいけたらいいと思っていたのではないか。
動きを止めた表現者が何かを伝えることが出来るのか。


何かが吹っ切れたような気がした。
誰よりも笑っていたいならば、誰よりもアグレッシブに。
「昔のように」じゃない。
「あの日の続き」でもない。
「あの時、夢見たステージのもっと先」にまで行ってみたい。そう思った。
帰り道、ちょうどヘッドフォンからMOROHAの「革命」が流れてきた。年齢なんか関係ない。もう一度やってやる。自分の中で決意が固まったのは多分この時だったと思う。

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後日、今後についてのミーティングが持たれた。
確か戦極の後、サイゼリヤで集まって決めたと思う。
「次アルバム作るなら、良いラップをするのももちろんやけど、トラックもクオリティ高いもの揃えて、活動もプロモーションもちゃんとやって自分たちを知らない層にも届けられる納得いくものを作りたい。それが今の梅田サイファーに出来るか。もし、仮にKZがやらない時、誰かがそれをやれるか」
話し合いの後、意欲を見せたガガがまとめ役となることになるのだか、結果的にはこの体制はすぐに暗礁に乗り上げ、一時は何故かガガの車を壊すという謎の展開になりかけるのだが、それはまた後日。

とにもかくにも、動きを止めていた梅田サイファーは、こうして三枚目のアルバムの製作へと向かって動き始めていくのであった。
「かつての常勝軍団」「多くのフリースタイラーを生んだ伝説のサイファー 」過去の話はもういい。
10年を迎えたサイファーがここから何ができるか。
PVを公開した新曲「決意」は、そこに至るまでの我々の心境を吐露した作品である。

 

youtu.be

 

KZ 2nd Album「CASK」について

「優しい日本語と腐らずのサンプル」

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予約:

[予約 19/1/16発売] KZ / 「CASK」 12 曲 + [予約限定]全曲 inst データ付き | UCDFBR

 

そりゃ、百四十字なんかよりは、長いけど読んでほしい。

嘘はつかないし、強がらない。約束する。これは、丸裸の心情。

 

時間は、確実に流れていく。

週末に、仲間と集まり、笑いながら曲作りができていた、

奇跡のような、あの春は過ぎ去り、最近は終電の地下鉄に乗りながら一人でいる、それが普通になった。

 

酔って楽しそうな人もいれば、仕事で疲れた人も、また今から仕事に向かう人も、

終電はそういった「何か」がないと、乗れない電車だ。

そこに、俺はラフミックス終わりの楽曲たちと乗り込む。

 

中吊り広告の、すぐに捨てられる言葉で書かれた、下世話な見出しを流し見しながら、いつも同じことを考える。

スタジオの帰り道は、決まっていつもだ。

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俺は、初めてラップした時に、どんなラッパーになりたいと思ったのか。

音楽そのものが好きなのか、はたして一人でも音楽が出来るのか。

ただただラップが好きで、良いラップがしたくて、それをし続けるために何をすべきなのか。

また自分の音楽のクオリテイを押し上げるために、そしてずっとフレッシュでいつづけるために何が必要なのか。

毎回、毎回、帰り道はそれを、ずっと考える。

 

小さな満足を積み上げて、振り返ると、俗に言う「いい年」に差し掛かっていて、

ずるずると敗退と酒と愚痴を、繰り返して夜から消えていく同年代や先輩を見て悲しい気持ちに何度もなった。

 

この終電から、もし誰かが、目的地ではない駅で降りたとしても、

誰も止めないし、誰も困らない、それと同じなんだろう。

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音楽で稼いだお金を、音楽だけに投資し、さらに良い音楽をまた作る。

「食う」「食わない」の二元論から、抜け出たところで音楽は出来るはずだ。

どんな人生だって歌う価値はあるし、歌えるはずだ。

あるとすれば、ただ「歌う」か、「歌わない」かの二つだ。

毎回、毎回、帰り道はそれを、ずっと考えていた。

 

今、出揃ったアルバムの曲を聴きながら、この文章を書いている。

バトルが弱くても、ワードローブには洗い立てのヘインズとデニムだけでも、

目の前の浅いトラップにはまらなくても、あのTVにでなくても、何かに属さなくても、

まだまだ俺は笑ってられる。そう確信できる、一枚になった。

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そして、たぶん、このアルバムが俺を、もっと遠くに連れて行ってくれる。そんな予感が、ひしひしとする。

1時間ライブ、 peko やんとの 8 耐 4 都市ツアー、その後も面白いことを考えてるから。

遊ぼう。平日がクソな俺たちは週末ぐらい、腹の底から笑うべきなんだよ。

そうだろ。

 

そして、俺が笑って遊べるのは、全部、これのおかげだ。

やっぱり、ラップは、HIPHOPは、音楽は最高だ。

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ここから、リリースまで、映像や文章も含んで、もう少し話ができればと思う。

俺は、ちゃんと分かってもらいたい人間だから、気が向いたら俺の話を聞いてくれ。

そして、音源を手に取ってくれ。

文章が疑わしいなら、生のライブで顔合わして、俺の音楽を聞いて見てからいい。

なんせ、俺はお前に聞いてほしいんだよ。

 

「優しい日本語と腐らずのサンプル」ユアフレンドKZ、ぴーす。

 

アルバム詳細

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予約:

ucdfbr.thebase.in

 

タイトル:CASK

アーティスト:KZ

品番:DFBR-011

価格:税込 2160

リリース日:1/16

 

1, Go ahead

2, 0neT1me4YaM1nd

3, TGIF

4, BEALONE

5, Seize the day

6, ダンスは続いていく

7, You talkin' to me?

8, イーエックス

9, PAiN

10, Bad day

11, Phantom Thread

12, Let go

 

All Word by KZ

 

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10, 11, 12

Track by ONGR

 

9

Track by dio j

 

All Recording by COSMICNOTES ANNEX

 

All mix and Mastering by Cosaqu

俺らは、なんのために戦うのか。 / 2018 UMB大阪 後記

久々に長いものを。

前の UMB も後記を書いたので、今回も。

(2 年前の記事は下記。)

kz-thr.hateblo.jp

 

前置き

2年前のUMBのあと、俺はあの河合の高台にある DFBR のブースにこもり、dioさんと二人でずっと曲を作ってた。

そして、1stアルバムの主要曲が、かたまりだしてからは、ライブばかりだった。

今年の春に1stのアルバムを出してからは、さらにそれが加速した。

伝えたいことは、出来る限りライブ中に伝えようと決めて、

ライブの精度をあげるために、汗かく日々を過ごしてた。

そして、それは今も続いてる。

俺は、俺を必要としてくれる人と目を合わせて、話したいと日々強く思ってる。

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例えば、Twitterなんかも、ほぼ告知だけになっていった。

あと、このブームに思うこともあり、バトルとは距離おいていた。

バトルから離れると、さも死んだ、終わったように扱われるけど、

俺のリスナー、大阪のお客さん、大阪の若いプレイヤーは俺が今どれだけ MC として生きてるか知ってくれてると思う。

 

「バカにした奴を見返すため ラッパーは何度も生き返るんだぜ」ってわけ。

 

サイファー、バトルが出自と理解して、それを取り除いて、

俺は、また地道に積んでいこうと思ってる。

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有名になる、バトル勝つ、メディアに出る、みんなに尊敬される。

それは、すごく甘美なんだけど、でも、バトルに勝ったから、

メディアに出たから、良いラップが出来るようになるのかと言われると違うわけで。

分かってるくせに、時たま間違えそうになる。

そんな自分が浅ましくて、悔しい。

 

例えば優勝する前の俺と、したあとの俺のラップは何も変わってない。

 

つまるとこ、良いラップをして、良いバースを書いて、良い曲を作って、良いライブがしたい。

そう思うと、バトルは自分の音楽活動の中に不必要だな、と。

そりゃ、バトルも出て欲しいと、ブッキングがあれば、それは喜んで応える。(正社員さんが声をかけてくれた、戦極18章もそうだし)

ちゃんと KZ を、必要としてくれる人には、持てる力を使い応えたい。

 

ただ、良くも悪くも俺はバトルより、ライブの需要が多い。

ありがとう、周りのオーガナイザー達。

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臆せず言うけど、決して俺は、バトルが強い MC ではないし、

さらに、今さらバトルが強い MC になりたいわけじゃない。

8小節2本で、自分が何を考えているか、

どんな人間なのか分かってもらうのは、俺には難しすぎる。

そして、8小節2本で俺を判断してくる人のために、俺は自分や、自分の音楽を使いたくない。

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1 MC 1 DJ で、誰も傷つけず、傷つかず、目の前のフロアが幸福に包まれる。

8小節2本のバトルより、16小節3バースの曲。

そして、俺のライムが誰かの生きる糧になる、自分にとっての音楽がそうだったように。

そんなラップがしたい。もう、30歳もすぎたんだから。

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なんどでも言う、

良いラップをして、良いバースを書いて、良い曲を作って、良いライブがしたい。

ほんと、それにつきる。

 

「良い」って何かを語ると、多くが必要になるので、それは俺のライブやアルバム見て聞いて、感じて欲しい。

「生活」を人質に、「仕事」を言い訳に、「金」をぶら下げられて、ダサいことをするなら、こっちから願い下げ。惑わず間違わずに。

 

当日

ここいら、ふぁんくのバック DJ をすることが、よくある。

人のライブを後ろから見てると、勉強になるし、

何せよ、俺は梅田の MC たちのビッグファンなので、近くで観れるのが単純に嬉しい。

去年はテークを神戸に見に行った。

今年は、ふぁんくが大阪予選でライブをするとのことだったので、ノコノコとバック DJ をしにいった。

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前置きの通り、今は UMB すら関係なく、自らエントリーして、なにかのバトルに出る気はなかった。

それでも、リハ前にトーナメント表を見ながら、あの大阪予選なのに、枠が 10 弱も空いてて寂しい気持ちになった。

 

2 年前にも書いたが、やっぱり、 UMB は年に一度のお祭りで、

大阪の様々なラッパーが集まって、よしわるしをぶつけ合い、話し合い、大阪の顔を決める。

そんな大会だと俺は思ってる。

だからって、前にも書いたけど、別に Libra 派ではない。

むしろ、今もその派閥争いみたいなのがあるのかも、知らないぐらいに、そこから離れている。

根本、そういうシガラミは大嫌いだ。犬のクソよりも価値がない。

それでも、 UMB 大阪予選って場所がくれたものは多くあった。

だから、空いた枠を見ながら、「枠があって、当日エントリーする MC がいなくなったら出よう」と腹を決めた。

それぐらいは、俺にも出来るし、しなきゃいけないと思った、勝ちあがっていく若手に花添えてやろうと。

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あの 2 年前とは逆にふぁんくが、「出ましょうや」って言ってくれたし、

若い MC に話したい、見せたい、またバトルだけが好きなリスナーに伝えたいことはたくさんあったから。

本音でいうと、戦極大阪の時のように、ライブで伝えれると一番いいんだけど、

ブッキングを得れないのは、自分の力不足だもんで。これを機に、来年は大阪予選でライブしたいな。

 

ジントニックを片手に、楽屋で 2 年ぶりの MCバトルを楽しみながら、枠が空くかを、みていた。

6 枠目か 7 枠目で出る人が途絶えて、念のために 1 枠待ってから、

ほかの飛び入り参加がいないことを確認して、楽屋から舞台に立った。

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久々に、コンパスの板の上へ

飛び入りで舞台に上がると客さんの歓声があがり、素直に嬉しかった。

今も大阪のお客さんは、底抜けに優しいな。もうそこにいないのに、俺を知っててくれた人、ありがとう。

その瞬間、ここは嘘ついちゃいけない、勝ちに絆されたらいけないと強く思った。

確か、先行の 1 小節目に「バトルなんかどうでもいい 勝ちに来てない」と言った。

嘘だ、と言われそうだけど、本心だった。

久々のバトルは、それはライブと違う、嫌な緊張だった。

楽屋に戻り、しかしほんとにバトルが苦手で弱いなーと苦笑いした。

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1 回戦、 2 回戦は初めて会う MC だったけど、 3 回戦の K-spit からは知ってる MC 達だった。

今回の大会、そして最近の大阪を語る上で枚方サイファーは外せない。

 

俺も、月曜のあの公園にサイファーしにいくし、

あの輪っかはラップ好きな気持ちの良い奴ばかりで、枚方サイファーは最高な輪っかの一つだと思ってる。

嫌がられるかもだけど、昔の梅田っぽくて居心地がいい。

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けんしろーくんに、俺はこう思うってのを、しっかり話せたと思う。

枚方勢の多くには、8小節2本より、 30 分のライブが似合う MC になってほしい。

無駄な老婆心だって、怒られそうだけど。

 

その後、ふぁんくのバック DJ だった。

キレキレのラップと抜群のユーモアで、後ろから楽しませてもらった。

ほぐしラップから始まり、ライザップビガップで終わる 20 分だった。

何度聞いても、ふぁんくの次のアルバムからの曲たちは、

どれも「相変わらずラップうまぁ。。。」ってなる。

2018も、ふぁんくはラップが抜群に上手くて、そして群を抜いておもろい。

梅田は最高だ。

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ここからが大阪予選の山

そして、 4 回戦はじょうだった。

じょうと楽屋で話してたけど、バトルするのは、実は初めて。

オーバーザトップであるかな?と思ったけど。

 

じょうが、あえてヒールに向かうことに、共感する部分が昔からあって。

 

あと、これはバトルで言ったことやけど、いつぞやの華金

「じょうくんが俺のライブを一生懸命見てたよ」って女から聞いて、

単純で、恥ずかしいんだけど、俺は前よりじょうを好きになってた。

 

それと、少し前に難波パークスを通ったらでサイファーを見つけて、

その横を通り過ぎる時に嬉々として、じょうがラップしてた。

「あぁ、こいつもやっぱ、ラップ、サイファー好きやねんなー」と思った。

そんな相手を、無理に削る勝ち方はしたくなかった。

 

試合後にじょうが舞台で少し話したみたいで、俺はそれを聞けてなかった。

ただ、後日の又聞きだったが、それは清々しい表情で気持ちいいコメントを残して舞台を降りたと、

知り合いの女の子が言ってた。

じょうから見ても、たぶん、いい試合だったんだろうなと、胸をなでおろした。

 

うん、今書きながら、思い返してもこの日、じょうとやれて、ほんま良かった。

ありがとう、じょう。

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準決勝はパンチライン星生まれのテリオ。

ベスト4の時点で、残っていたのが梅田サイファーの2人にJR大阪サイファーの2人。

またはアマチュア、それか華金4人。呼び名は何にせよ、全員が身内で嬉しく、誇らしかった。

そしてトーナメントが、ふぁんくはジークレと、俺はテリオとで、

「やっぱ UMB はドラマがあるなー」と1人で、楽屋で二杯目のジントニック飲みながら、ふけっていた。

ふぁんくとジークレの試合は、手に汗握りながらヘッズとして、かじりついて見させてもらった。

そして、ふぁんくが勝った瞬間は、普通に喜んだ。

この日も、ふぁんくは「ここにあり」ってほど、血気盛んな若手をなぎ払ってた。

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次に、俺の名を呼ばれ、楽屋の階段を踏みながら、

ふぁんくと決勝でラップできたら、ええなーと、なんとなく考えてた。

 

その日も、テリオは爆発力が凄まじかった。

2 年前からさらに進化してた。

今や、お客さんもミステリオって言う MC を理解しきって、

次に何言うか、何をするかを待ち望んでる。

1 回戦から、俺もリスナーとして、その爆発力を楽しませてもらった。

 

テリオとは、2年前のエンターでも当たって、その時も似た話しをした記憶がある。

そして、あれからアマチュア華金で、なんども一緒に遊んで、

テリオのラップが、ライブが、良くなっていくのを近くで見てて、

そんなテリオへ、2年越しに伝えたいことがたくさんあった。

ウケればいいバトルに慣れることは怖いと思う。

どこまで伝わったかは、またテリオと一緒になれば分かるはず。

 

それにしても、8小節4本でも全部伝えるのは難しいなーと思った。

テリオ、次のアマチュアの時にでも、 noon の外のベンチでまた話そうぜ。

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少しだけ、脱線して。

あの日にジークレが触れてたことで、いろんな MC からも「レベルが低い試合が多い」って聞いてた。

もう、正直、バトルの動画はほとんど見ないし、現場にもいなかったので、ピンとこない部分もあったけど、1回戦なんかは「なるほどな」と思う瞬間もあった。

俺たちの名誉のために言っておくけど、ベスト8ぐらいからは、さすが大阪やんけ、と惚れ惚れする出来のラップが多かった。

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例えば、司会の DO BOY さんも、俺のバトル終わりに「 KZ くんのマイクの持ち方を見てください」って言ってたけど、そのレベルの MC もやっぱり多かった。

でも、俺も昔はそうだった。

サイファーばっかで、韻踏めば勝てると思ってた。

そりゃ、何年も盲目だった。

 

決勝のバトルでも触れたけど、 R やふぁんくの呪縛はあって、

さらにもっと言うと、ドイケンや古武道さんのもかな。

なかなか、カッコ悪いこと書いてるなーと思うけど、嘘つくのは嫌だから、正直に。

あれだけ、上手い MC がいると、素直に憧れちゃう、それも毎週、毎週見てると余計に。

同じアティチュードで、同じルートで勝負しないと、いけないと勝手に解釈してた。

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Nas がフローを手に入れるのに 10 年って言ってたけど、ほんとにそれ。

やっと、最近、自分がどんなラッパーでラップをすべきなのか分かりだした。

これは、優勝報告を dio さんにした時に、話したことやけど、俺は今回のソロアルバムを作ったことで、ほんとに救われた。

多くの歌詞を書いて、やっと自分がどこから来て、どこに行く MC なのかが見えてきた。

そういうアティチュードの部分もだし、あとはブースに向かうことで、ラップの基礎体力が、さらに養われた。

 

自分はえらく、遠回りしたけど、それも含めてやっぱ、ラップ、ひいては音楽を、いいなと強く思う。

良いラップするのにバトルには勝てない MC たちに、バトルの結果だけでマイクを置いて欲しくない。

負け続ける夜こそ、ペンを走らせようぜ、と思う。

プレイヤーとしても、リスナーとしても、出来るだけ、たくさんの良いラップを聞きたいから。

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さて、決勝へ

バカみたいな感想やけど、楽しかった、その一言につきる。

なんだかんだ10年間以上、一緒に梅田でサイファーしてる、それも一番古い仲間と UMB 大阪の決勝で当たる。

文字すると改めて、それは幸せで素敵なことやなーと思った。

なので、バトルで言った通り、大阪は俺が獲ったから、ふぁんくにリベンジ枠を獲ってもらって、本戦でも遊びたいな。

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あと、Rはともかく、今回はpekoやんも、HAMAYAもいなかったのは少しだけ寂しかった。

古武道さんもドイケンもテークもたまこぅも。2年前に書いた通り、運良く俺が優勝したのに。

クローズを、みんなで遊べなかった。

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それにしても、勝ちたいと心底、願った時には、あんなに遠かったのに。

ほんとに数奇で面白い。

でも、俺は、飽くことなくレペゼン梅田で、この大阪のシーンと、そこから見える多くの日本語ラップを愛してる。

年末にブームの震源地のあそこに出向き、俺と俺らと、さらには大阪のシーンをラップし、

知ってもらって、それが俺らの夜に、俺らの音楽につながり、結果として多くの笑顔が増えるなら、やらなきゃなとも思う。

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でも、浅いとこでのスキル比べも、知らない人を削って勝つのも、もうしたくない。

幸い時間はある。あそこで何を話したいのか、多くのプロジェクトの制作の合間にゆっくり考えるよ。

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後書き

優勝したあとですら、素直に言う。

俺よりバトルが強い MC は大阪に腐るほどいる。

ドイケンと昨日スタジオに入りながら話したけど、 TERU とかほんまに、うまいもんな。

 

俺は、バトルというフォーマットや、もうこのシーンは自分の主戦場じゃないと知ってる。

それに、「プロップスを得るため」「CDを売るため」と割り切れるほど、自分の中でラップがビジネスになってないし、いい歳こいて大人になれてない。

ネタを仕込んで、嘘ついて、耳障りいいライムで小節を捻じ曲げてまで、もう勝たなくてもいい。

そんなところ。

 

俺は書かなきゃ、駄目な人間だって、自分でもわかってるから、

この熱が、冷めてしまって歪な形になる前に、ここに記しておこうと思い、ここまでペンを走らせた。

 

最後にこれも触れておかないといけないと思う。

サイファーの始祖」なんて、よく分からん語られ方。やっぱ、すごく腹立たしい。

サイファーなんて、俺より遥か前に生まれた文化やし、再三言うけど梅田サイファー自体も俺が作った訳ではない。

もっと言えば、渋谷(ダメレコの方)や名港の方が、先輩やし。

それに、サイファーと一概にいえども、「サイファー」の前に地名が来て、その地名ごとのアティテュードや特色があって、、、

と、俺は、サイファーについて話すと、止まらなくなるぐらい、サイファーが好きなんで、余計に腹が立つ。

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小さなことだけど、そういうリスペクトが足りない扱い方をされる瞬間がバトルシーンには多い。

他の MC は腹立たないのかなと思う。

俺たちを使って、金儲けしてるんだから、俺たちに傷つけんなよな。

ほんまに、「雑巾ちゃうぞ、人間は」ってなる。

小さいことやって、分かってるし、口にすると疎まれるんやろうけど。誰かは言わないと。

 

俺は、俺って言う人間を分かってもらうために、ラップをしてて、

マスコットやサービス業でもなく、腐っても MC 、アーティストだから。

(ちなみにこの件のあと、正社員さんは、わざわざ俺に電話してきて「KZ、怒るから怖い」といいながら、 18 章のコピーの了承をとってきてくれて、その丁寧さに笑った。でも異名は、ばっちりダサかった。自分で考えるのも違う気がしたから、 OK しておいたけど。)

 

あと、ずっと前から思ってるけど、早くバトルの関係者には気づいてほしい。

MC を消費してバトルというコンテンツを作っても何にもならないことを。

何人が登っては、梯子を外されて、キャリアを断絶され消えていったか。

その裏で希釈されたバトルイベントが、ガンガン増え続けていってる。

そこには、正しいメディアやガイドラインもなく、お客さんも若い MC も道に迷ってる印象を感じる。

あんなに劇的な祭りだった、 UMB ですら、もう荒んでる気がした。枠に空きがあったり、お客さんが少なかったり。

かと言って、地方の小箱のイベントも、相変わらずスカスカか、いても若い MC がお客さんになってる。

ただ、東京の大きなバトルだと高額な数千枚のチケットが完売になる、そして後日その動画は数十万回る、

じゃあ、そこにいる人たちがさらに、奥に進むためにはどうすればいいか。

それを、バトルで美味しい思いした、またはしてる人たちが考えるフェイズに来てる気がする。

 

その裏で、俺は何をするか。

いくら優勝できたからといって、幾分前から、もうそこにいないし、自らは戻らない。

俺は、俺と信頼できる仲間で良いと思うものを作り、空いた時間に土曜の歩道橋でサイファーをして遊び、

Stomp 華金を、 noon でアマチュアという、いかしたパーティーをひらく。

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ただただ、それを続ける。

声を大にして言う。

なんで、音楽して「不幸せ」にならなあかんねん。

俺が、この勝利に絆されて、間違わないように。

俺の好きな MC 達が、俺と似た分岐点で迷わないように。長々と書いた。

読んでくれて、多謝。

 

最後に、大阪、今年は俺を選んでくれて、ありがとう。

賛も否も受け入れて、なすべきことを。

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もしラップがしたいなら、土曜の歩道橋に。

俺らの音楽が聞きたいならアマチュアか、華金に。

気に入れば、俺らの音楽を手に取りプレイリストに突っ込んでくれ。

これからも、たくさんの曲を作り、たくさんの夜を祝福し、幸せな音楽に包まれ、俺は進んでく。

最後に、やっぱり、「嗚呼、人生は綺麗」だよ。

 

ぴーす

 

アザーサイド Wirtten by doiken

【まえがき】
 
読み物がいいやつは
KZさんのやつもっかい読んでな。
 
【あれから】
 
2014年から作り出して、
何度も行き詰まって、
2016年に制作が一気に進むような
イデアが出てきて、今に至る。
 
まぁ詳しい制作のストーリーは多分KZさんが
書いてるやろから、
自分はそれぞれの曲のなんやかんやと、
自分が何考えてたか思い出して書いてこうかな。
後KZさんが書いたやつ見てないから
どんな風になってるか答え合わせも・・・。
 
【曲】
 
1.リバース
早速何でこのタイトルにしたか
あんま覚えてへん…。
 
元々、制作初期〜中期にかけては、さ
このアルバム自体を
前作“PLAIN”のパート2的なもの
しよかなーおもてたから、
当時と同じテーマで曲調が違うやつ作ろう
って考えてた気がするけど、
これだけは別で、
偉大なるワンループに引っ張られた形。
 
KZさんのバースの着地〜アウトロ
かけてが必聴ポイント。
このリフレイン気に入ってる。
 
2.Set,Go pt.2
前作“PLAIN”の2曲目のブラッシュアップ。
かなり初期段階に出来てた。
これもビート聞かせてもらった時に
めっちゃくらったのを覚えてる。
 
サビが上手くハマってて良きかなと。
「コルテッツで憧れてるケンドリック」
ってラインが、時代を感じさせる。
リーボックやもんね。
 
3.Wake Up For What
ご存知 起きる。
「真ん中で折ってそれぞれの
テーマが表裏になるように」
っていうコンセプトに合わせて、
この曲は制作後期に作った曲。
 
朝の道中…学校向かう原チャ乗りながら
バーって書きあげた気がする。
 
当時漫画「ピースメーカー」にハマってた様子。
最後の最後のイェーがかっこいい曲。
 
4.Won't Stop feat.テークエム
2013年の曲にテークさん入ってもらった形。
三者三様にラップが伸びてていい感じ。
 
自分のバースに関して言えば、
アイスピットファイヤから
(パイルドライバー)にかけての
小節がよく出来てるかなと。
 
この頃ぐらいが多分ライムを、
1小節/2小節のケツって考え方ではなくて、
4-8小節グループでスキームとして
捉えられるようになって来た時。
 
自由になりました。
 
5.拘り feat.ふぁんく
構成がいい感じな曲。
俺とふぁんくさんは
こっち側で勝手にやけど
相性いいなーと思ってて、
そこを活かした形。
 
北摂の曲から全員の
進歩が見えてすごく好きです。
 
KZさんが作ったフックが
勢い出すのに一役買ってる。
 
ちなみに俺の作ったフックは
アウトロで使いました。
逆やったら微妙やろから
名采配やったと思う。
 
6.鼓動
真面目な曲。
死がテーマの曲が先に出来てて、
その後に生がテーマのこっちが出来た。
 
当時あんまり子供持つこと
とか考えたことなかったから
書くのが難しかった曲。
 
自分のバースでは、
「っラジオから25個目の染色体」
のフローがベストパートです。
 
7.Hurry
ご存知時間がない曲。
ビートかっこよすぎて
飛びついたこと覚えてる。
 
ストップウォッチ/スポーツ報知
この素晴らしいライムが浮かんだ時点で
俺のこの曲での役目は果たされたので
3バース目をKZさんに譲った形。
そしたらこんなキレてるバースが
返ってくるとは思いもしてなかった。
 
こういうビートで気をつけることは、
詰め込みと間空けるときの緩急。
上手くハマった時はどっちに対しても
良い作用が出るなーと思ってます。
 
8.一緒にいた feat.たまこう
家族が離散する曲。
ちょっと言いすぎたけどそんな感じ。
これは…たまこうさんのフックかな。
 
やっぱコーラスワークまで
揃えて作ってくるところが、
普段どんなけ音楽聞いてるか
教えてくれる感じがする。
めっちょ参考になりました。
 
9.旅 feat.たうりん
この曲がちょうど真ん中。
旅=非日常。
この曲だけ対になるテーマが無い。
 
歌詞は直してないけど
取り直した曲。
もともともっと優しい声で
レックしたけど、なんかちゃうなー
なってやり直した。
結果いい感じなりました。
 
たうさんのバースは
人生を旅になぞらえてて、
アルバム的にも大事なバースになりました。
CD来たらすぐ送りますね。
 
ツレと飲む曲。
再集合というかなんというか、、、
久々会うと楽しいよねー、みたいな。
前の曲のたうさんは今高知に住んでるから、
そんなこともイメージしながら作った。
 
11.Stop
時間がある曲。
俺のバースに関して言えば、
このチャンスSAIKOU☆
モーメントくんのSAIKOUって曲に
インスパイアされてます。
 
「人生のご利用はもっと中長期的に」
っと、焦らなくてもええよーって
語りかけてます。
 
12.Hold On
死ぬ曲。
乗り越えたり、忘れたりするんじゃなくて、
「留める」みたいなことをイメージして。
 
特に書くことない。
 
13.Favorably Change feat.tella
好ましい変化。
tellaさんのビートがすごく良くて、
ドラムが半分だったり、気持ちい音色やったり、
とても後押ししてくれた記憶が。
 
進路について色々思案してた親しい友人に書いたバース。
言いたいこと言ってたら長くなっちゃった。
肩の力が抜けてて、気持ちい仕上がりですね。
 
14.立ち止まる
サビを最初に録った時に、
KZさんから某ラッパーに似すぎてるから違うのにしてと言われ、
頑張ってひねり出したやつ。
結果前よりめっちゃくちゃ良くなって、最高でした。
 
15.おやすみ
寝る前に聞くと間違いなく幸せ。
 
16.Place to Return
ビート聞いた時に、
ホワイトベースに向かうアムロの姿が見えて、
そういうテーマにした。
テークさんの声使わせてもらうのは俺のアイデアで、
ものすごく効果的やったと思う。ありがとうテーク兄やん。
 
17.tiktak
お家に帰る曲。
この何年かライブでやり続けて、
かなり手ごたえがあります。
序盤・中盤・終盤 隙がないと思うよ。
PV見てください。
 
【これから】
今回収録されてる曲たちは、
俺にとっては上に書いてる感じで…
 
みんなの耳元でどんな意味を成すかは、
すごく楽しみな部分でもある。
 
またどっかの街で会えたら、
感想聞かせてくれると嬉しいで、
そのためにも色んなとこ行けるように。
 
何より手にとってくれた人に感謝を。
また遊ぼうぜ!