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Of Mice and Men

梅田サイファーのKZです。音楽とそれを取り巻く諸々について。

毎週土曜の歩道橋で【UCDFBR Sampler Vol.2 全曲解説】

久々に、長く文章を。

もう、知ってると思うけど、梅田サイファー 2 枚目のアルバム「UCDFBR sampler Vol.2」が発売になります。

 

Epilogue

これは、 2015 年の夏に皆で集まって、制作の合宿をしたアルバムです。
俺たちは大きな休みが来ると、 DFBR に集まる。

数日間、梅田サイファーとその周辺の人間が 30 人ぐらい入れ違いで過ごす。
なんとなく想像しづらい部分もあるけど、緩い合宿と思ってもらえれば。

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真面目に制作する人間もいれば、だらだらゲームする人間もいる。
誰かの恋人がご飯を作ってくれたり、夏は花火して、冬は鍋をする。

 

当然、ラッパーとトラックメイカーが集まるから、この数日間で何曲か楽曲が出来る。
それをまとめてフリーにしたり、売り物にしたりしてる。

 

今、 PC を見ると 2009 年が一番古いマイクリレーだった。だから、この風習はもう 7 年ぐらい続いてるのかな。
その 7 年前はまだ、ドイケンやガガやコーラはいなかったし、その 7 年前にしかいない人もいる。寂しいかな。
またその時々で、いない人もいる。今回で言えば R が忙しくて来れなかった。残念。 

 

梅田サイファーが始まったのが、 2007 年の 5 月だから、来年で 10 年。
よくも、まぁ、毎週というハイペースでサイファーを続けれたなと、我ながら呆れる。

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それでも俺は途中、 2 年半ほど大阪を離れた。(なんだかんだ月 1 回は戻ってたけど)
1 枚目の梅田サイファーのアルバムは、まさにその離れる前のお盆の 1 週間を使って、作ったアルバム。
最後の日に DFBR から車に乗り込む瞬間に涙がとまらなくなって、笑った。
深夜の高速で、こっそりテークがくれたプリプロの「matana」と「分岐点」を聞いて、また泣いた。
みゆきは、助手席で呑気にいびきをかいてて、その間抜けさが救いだった。

 

今、聴いても「分岐点」って曲はあの時の俺を、また俺たちを捉えてて、手前味噌だけど良い曲だと思う。
ある人があのアルバムを「青春群像劇」って評していたけど、まさしくその通り。

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リスナー、プロ、アマ、食う、食わない、メジャー、アンダー、就職、ドロップアウト、留年、転勤、結婚、出産、離縁

 

ほんとに色んな、感情を日本語ラップに預けたアルバムだ。

でも、もう俺たちの手元の 1000 枚はなくなってしまった。まだ、 タワレコだと在庫があるとこはあるよう。
もし、データでもいいのなら、 iTunes でどうぞ。年末で販売も終わる予定なので、是非とも。

Umeda Cypher's Delight (ver.2013 Summer)

Umeda Cypher's Delight (ver.2013 Summer)

  • Umeda Cypher V.A
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250

 

 

2013 年の年末の UMB で並んでる人たちに、一生懸命声かけて手売りで 120 枚ぐらい売れたのは感動した。
サイファーなんて、あの頃は掃き溜めで爪弾きだったし「ダサい」の象徴だったから。
卑屈になってたけど、 R の優勝もあって、すかっとした。
強いて言えば、あの時に買ったくれた人のプレイリストでまだ、音を鳴らせてたら最高だな。

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今回は、各自ソロの EP を作って、経験を積んで集まったので余裕が生まれてる。
遊びの幅も増えたし、トラックも前より選択肢が増えた。

 

ずっとサイファーしてた奴もいれば、楽曲を作り続けた奴も、
バトルで名前を売った奴もいれば、忙しくてラップしきれなかった奴も。

 

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サイファーってのは、四方から集まる。
クルーやポッセ、レーベルメイトは「組む」という行為がいるけど、サイファーは「組む」という行為がない。

 

来たい人が自然にやってきて、入るための通過儀礼もない。
ただただ、ラップしてればいい。こんなにシンプルな集まりは中々ない。
毎週来ても、毎週来なくても、ラップをしても、ラップをしなくても、君の自由。
つまり、全体ではなく個を優先する上での成り立つユニティ。
だから、残りつある人は、「純粋にラップ好き」が多い。

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まー、難しくなったけど、相変わらず俺たちは自由に好き勝手やってるよ。ってこと。
そんな、俺らの 2 枚目のアルバムの全曲紹介するから、聞きながらでも聞き終わったあとでも。
理解を深める足しになればと思うよ。

 

1 , 始まりのストーリー

Words by : KZ , ふぁんく , Kenny Does , tella , テークエム & KOPERU
Beats by : dio j

 

多分、最初に出来た曲じゃないかな?だいたいは、アルバムの大枠はドイケンと作ることが多い。
少なくとも、制作の初期段階でトラックを前にテーマ決めをしているなかで
「分岐点はその地点からの景色を歌った曲。今ではなく、過去の曲を作ろう」って考えた記憶がある。

 

出来はいわずもがな、各自の描写の上手さが、安いエモーショナルにならないように歯止めをかけてて素晴らしい。
賛否はあるけど、日本語の表現はまだ議論の余地があると前置きして、今のHIPHOPの歌詞は直接的すぎて面白くない時が多い。

 

あと、俺はこの皆のリリックの瞬間をほぼ、隣で見てきたから余計に感情が入るのかも。

ふぁんくが、まだ電車で来てたってことや、ドイケンがペコやんに連れられて来たとか。
tellaが過去バレットって名前でやってた事や、テークが言う OBJ(OSAKA BeatBox Jam)も。
どれもこれも、「そうだ、そうだった。懐かしい」となっちゃう。

 

たぶん、多くの街にあるサイファー。
そのサイファーが産声をあげた夜や、すでにあったサイファーで君が初めてラップした夜や、
場所は違えど重なる部分は多くあると信じてる。

 

 

2 , THIS IS CLASSIC

Words by : KOPERU , GAGA , 鉄兵 , ラード & テークエム
Beats by : Abratic

 

梅田のなかでも ILL な奴らの集まり。
例えば、俺は分りやすい文章を書く事はできるけど、音楽ではそれが正解と限らない。
ことさら HIPHOP だと、まさに。それを痛感させてくれるメンツ。

 

ドイケンと話したイメージは、もっと HIPHOP っぽいとか、混沌とかだったと思う。
その通り、素晴らしい。「クラシック」ってワードをもとに各自が、好き勝手してて笑える。

 

こういう、ぶっとんだ歌詞やテーマのかっこよさは HIPHOP から切って切れないから。
一番、印象に残ってるのはラードの「KZさん、光が一番クラシックなんですよ」ってセリフ。

 

まじ、意味わからん。


あと、油の旦那、ナイスワーク。良いビートだ。

 


3 , ドリームフィニッシュ4

Words by : ドリームフィニッシュ(ネピア , ヤス8番)
Beats by : 壇 ミツ ザ ビーツ

 

数少ない俺より、年上の 2 人のタッグ。新曲を出すたびに、腹抱えて笑う稀有なユニット。
基本的に臆する事なく、下ネタ全開で常人じゃ踏めないライムを踏みながら、「夢精」について歌ってる。
ある曲では、安室奈美恵のラップ?を歌ったり、ほんとに好き勝手しすぎ。

 

もう説明してる時点でワケが分からんよな、これはとりあえず聞け。そして、ゲラゲラ笑え。
「この人たちのせいで、親とのドライブに中に梅田の CD を流せない」ってのは、狙い通り。


壇 ミツ ザ ビーツって名前も面白すぎ。

 


4 , ILL TRIMMING.

Words by : GAGA , テークエム
Beats by : ONGR

 

梅田サイファーを語るときに、GAGAは外せないと思う。
あまり、褒めたくないけど、明らかに新しい尺度を持ってきた人間で、天然物の ILL だ。

 

ライムとかフローとか、そんなものをぶち殺していくリリカル。ラップという手法の懐の深さを感じる。
音楽的なセンスが皆無でも(俺も)、ラップをその人受け入れてくれるんだから、素晴らしいよ。

 

海外って非日常をさらに GAGA って言う非日常な人間を通すことによって「なんか分からんけど、良い」ってなる。
「なんか分からん」ってのが悔しいけどさ。

 

あと、 3 曲目の「THIS IS CLASSIC」でもそうやけど、テークエムの HOOK 職人っぷりが光る。
短い小節のなかでも、ボキャブラリーのチョイスにセンスが溢れまくってる。

 


5 , ぱんけーき

Words by : KOPERU , KZ & MCりぼん
Beats by : ONGR

 

暇だから作った。ぴーす。

 


6 , 憂い

Words by : たぅりん
Beats by : Abratic

 

梅田サイファーは「ライム」が大好きだ。
例えば、今のバトルの子たちがやる、名詞踏みや、四文字熟語や、格助詞を挟んでのライム、子音踏み、それらはほとんどやりつくした。

 

でも、そこまでライムが好きになったのは、色々要因はあるけど、その中でも大きいのはタウさんの存在だ。
タウさんは梅田の中でも、フリースタイルをしない。だから、バトルヘッズには馴染みは少ないと思う。

 

R やふぁんくを入れても、俺らの中では「一番面白い人」と「一番ライムが固い人」の 2 冠。さらにあと「一番屁が臭い人」をいれて、 3 冠だ。
タウさんが踏むライムは、徹底して語感の気持ちよさがある。母音だ、子音だとパズルをこねくり回している人間にはたどり着けないライン。

 

この曲でも遺憾なく、それを発揮している。意味とライムを、ここまで巧みに仕込める人は日本でも、ほとんどいない。
屁ばっかこかずに、ほんとにもっと曲を作ればいいのに。

 


7 , 煙が目にしみる

Words by : Kenny Does , tella
Beats by : dio j

 

この 2 人は音楽的な素養が高い。
梅田で唯一、おのおのと EP を出している俺が言うんだから間違いない。
ドイケンのリズムとテラのメロディは、天性の才能。

 

曲を聴いててもメロディやビートアプローチ、そのスムースさたるや。
また、 dio j さんの、このトラックいかしてる。実は、悔しいほどのりたかった。
タバコとラップを絡めて、綴る歌詞も素晴らしい。

 

そうだ、これ聞いて悔しくて「ぱんけーき」作ったんだ。いわば、「ぱんけーき」はこの曲のアンサーです。
ぴーす。

 

 

8 , The Helm

Words by : ふぁんく , KZ , Kenny Does & AO
Beats by : ONGR

 

これは、確か 1 通りアルバムを作って、あともう 1 曲いかした曲が欲しいってドイケンとなって、作った曲。
HOOK に AO を呼んだのは大正解だった。 AO は、えぐいほどラップうまいのに、しないからもったいない。

 

俺はふぁんくの暗喩が好きで、いつも iPhone で流れるとニヤニヤする。
あと、テークが俺のバースが好きなようで「金歯のディガー」をもじって、「金歯のニガー」「リックロス」って言ってくる。
少し、うっとしい時もあるけど、言ってる時のテークが幸せそうなので、好きにさせてあげよう。

 

久々に、ストーリーテリングをして、楽しかった。そこの若いの、継続が力よ。

 


9 , U.C.’s Delight 2015 Summer

Words by : 梅田サイファーMC's
Beats by : ONGR

 

お約束のマイクリレー。少しテーマが「かえる」って言葉なので、シリアスなリリックが多い。
マイクリレーは、その時点のスタイルの差異と、並べた時の成長が見えるから楽しい。

 

10 周年ぐらいで、過去からのマイクリレー集めた、 EP でも公開しようかな。

 


10 , 胃袋でパーティー

Words by : KBD
Beats by : dio j

 

古武道さんのどクラシック、フロアアンセム。
多分、大阪のシーンじゃ、 IFK の一網打尽の次に盛り上がるんじゃないかな。

 

ほんとにコミカルとデフォルメって言葉の理解度が高い、人やなと思う。
HIPHOP 版の吉本新喜劇を見てるようだ。ベタやキャラクターを突き詰めて職人芸にしきってて、感服。
ただ、「良くご飯を食べる」っていう設定から、ここまで緻密な笑いを作るんだから、ほんとに賢い。
ライムも、そんじょそこらの奴じゃ思い浮かばない面白さがある。

 

あとは、俺たちには少ない、完全打ち込みのビート。
dio jさんが、「こんなの量産できるんですよ。でも楽しくない」って言い切っててビートメイクの奥深さを感じた。

 


以上です。

 

もう、俺たちの手元にはないけど、 Amazon にはあるので、欲しい人は下記からどうぞ。

 

UCDFBR sampler Vol.2

UCDFBR sampler Vol.2

 

 

読んでくれてありがとう。
また、君のプレイリストか、毎週土曜の歩道橋で。ぴーす。