年に 1 度の、あの大会。
INTRO
やっぱり、「あこぎだな」と思う。
好きなのに、認めてるのに、それでも俺の方が上だって言わなきゃいけない。
単純な力比べになる事もあれば、人格を否定しなきゃならない事もある。
仲間も、後輩も、先輩も、ヘイターも、同業者も、ヘッズも、キッズも。
なんにせよ、「愛の言葉に呪いこめる 呪いの言葉に愛こめる」だ。
それにしても、「あこぎだな」と思う。
記憶頼りになるので、曖昧さもあるけど、それはご愛嬌で。
Verse
話は大会の前々日から。
たまたま、自分のプロジェクトでふぁんくに連絡をとった。
その時に、 UMB が今週末にあるって話をして、ふぁんくのエントリーを誘った。
多分、俺は梅田のメンツに関しては、仲間でもあるし、俺は 1 番のリスナーでもあると思う。
なので、大きな何かがある時に、皆のラップを聞きたい。と心底思う。
正直、勝ちの確率を考えれば、ふぁんくなんか出ない方が良いんだけど。
でも、やっぱり見たい。古武道さんも、 doiken も、コペローも、テークも。
わがままを言えば、 R も。
そんなこんなで、ふぁんくがエントリーするって聞いて、電話を切った。
Hook
当日
このブームのおかげで、たくさん、大会は増えた。
だからって、俺には関係ない。今も昔も、俺は別に、 Libra 派でもないし、鎖派でもない。
別に、どこかの主催から便宜をはかってもらった事はない。あるとすれば、正社員さんと韻踏ぐらいかな。
言わば、実害もなきゃ、利益もない。毎回 2000 円払って、俺らは俺らで遊ばしてもらう。
それでも、 UMB は特別な気がする。
俺たちが遊びだした 2007 年、まだフリースタイル黎明期のあの頃は年 1 回しか大きな大会がなかった。
ENTER が毎月あって、 UMB が年に 1 回あった。その UMB には、ほんとに皆こぞって参加した。
HIDA さんやエローンさんって言うフッドスターもそうだし、悠然さんやブービーさん、大福さん、あと NAJIMI さんやちゃくらくん、
GEBO さんもか、名前を挙げればきりがないほど。
今なら64人というトーナメントから、あぶれる数の MC が大阪にいるだろうけど、あの頃は64人が天井だった気がする。
ハーコからナード、黒い人も黒くない人も、大阪のフリースタイルが出来る MC はほとんど一同に介してた。
そして確か、俺も俺たちも 2008 年から出だした気がする。
そこから、大阪のシーンの変化を俺は近くで見てきた。
特に、「梅田サイファー」という集団が、この界隈に何をもたらしたかを見たし、嫌われ者だった俺たちがどう市民権を得ていったか、
そのあとに俺たちに憧れて始めた MC をたくさん見た。
一昨年の 2015 は、2014 年末に R が 3 連覇して一区切り、「もう俺たちはいいんじゃないかな」って考えがあったので、出なかった。
でも、奮闘する古武道さんや、テークを見て、やっぱり「いいな」と思った。
あとは帰阪して、やっといけた「JR大阪サイファー」も大きかった。
あいつら、バカほどバトルするの。もう、負けや勝ちとか抜きにして、ずーっと。
俺らの、サイファーに対する情熱と近しいものを感じ、素直に「尊敬」した。
それ見て、「どーせ Battle なんて」って思ってのが、純粋に「 Battle も悪くないな」って思わしてもらった。
「スポーツみたいなラップして」って批判はよくあるけど、それも 1 つのアティチュードだし。
今の俺は、そんなラップはする気はないけど、そんなラップと真っ向からぶつかるのも楽しいって思った。
ほんとに、ありがとう。
9 年もラップして、まだ後輩に教えてもらうんだから、 HIPHOP は楽しい。
大会はと言うと、俺は数回勝って 2 度か 3 度ほど延長して K-razy に負けた。
少し前に、 ENTER で同じく K-razy に負けたたまこぅと、その後に K-razy と戦うことについて話した。
K-razy はいやらしい勝ち方をしない、だから戦って負けた時も清々しいほど納得させてくれる。
ちゃんと相手の土俵で相撲をとり勝っていくんだから、すごい格好いいと思う。
あと、記憶に残った MC はミステリオと Frog だ。
ミステリオはドイケンとのスタイルウォーズも、そのあとのふぁんくとの打ち合いも楽しかった。
あそこまで「間」を恐れない MC はすごいと思う。
サイファーあがりの MC は「間」を生まずにラップするくせがある。それが色んなものを台無しにすると気づかずに。
彼らにとって、詰まることは下手くその証明だし、譲るタイミングだから本能的に「間」が怖い。俺もその嫌いがある。
でも、ミステリオは如何なく、その「間」でパンチラインを打っていくから素晴らしい。
Frog はほんとにラップが底ぬけに上手い。
女性軽視と言われそうだけど、フィメールで「単純にラップがうまい」って思わせてくれる人はほとんどいない。
バトル界隈はだいたいそう。今やフィメール MC も多種多様ではあるが、「女性」というアティチュードありきの MC が多い。
そんな中、彼女は純粋なビートアプローチな上手さと土臭い HIPHOP のアティチュードで戦うから、見てて 男女関係なく熱くなる。
Outro
ほんとは枚挙すれば暇がないほど、良い MC が増えてきてると思う。
いろんなサイファー、小さなバトルを見てて、実感する。
いくら主要都市といっても、 HIPHOP ゲームから見れば結局のところ大阪も 1 地方だ。
「ビジネス」の気配が薄く、純粋に「 HIPHOP 」が「 Battle 」が「サイファー」が「フリースタイル」が好きな MC ばかりで遊んでると居心地がいい。
この純粋さが、今後起こりうる外的要因と戦う礎になればと願う。
今年の UMB があるかないか、あるなら誰がどんな形態で行うのか。
ボランティアに近しいものから、ビジネスに変わっていく中で何かしら波は起こる。
でも、書き出しにも触れたとおり、俺には、俺たちにはあまり関係ない。
今年も気持ちよく遊べる場所を探して、自分の格好良いと思うラップをやるだけ。
これを読んでくれたプレイヤーへ、2017 年もお互い良いと思うラップをやりきろう。
最後に、一つ。
Twitter にも書いたけど、またいつか皆で Battle に出たいとは、心底思う。そん時は、ぜひ優勝させてもらおうかな。
最後に、古武道さんもコペローもテークも、それに無理やろうけどRも。また皆で、1つの大会に出たいもんやでな。ラストをpekoやんかHAMAYAにして、皆でフロアで遊びたい。誰かが優勝して「俺ら最高」って気持ちで帰りたい。って訳で、来年はそうする。また、しっかり1年ラップし通そう。
— KZ (@KZ_THR) 2016年10月29日
ぴーす。