「Introspective」全曲紹介
「Inttrospective」全曲紹介
衝動
初期衝動に突き動かされ無我夢中でラップに没頭していたあの頃、ラップだけが自分の生きる意味であり心の支えだった。
けれど駆け出しから10年、結婚や子供の出産を経て自分の中で「ラップ」への情熱は少しづつ確実に薄れていった。
孤独が原動力だったこんな自分にも親友と呼べる友達が出来て、更には家族が出来て。この10年で「俺にはこれしかない」ってアティチュードは完全に消え失せた。
そんな風にして、ラップを辞めていく人も多いと思う。似たような道を歩いたからこそ少なからずその決断は理解出来る。
でも、それでも、それなのに、今も俺はこの上なくラップが好きで。
幸せな家族生活も友との時間も心に巣食う怠惰でさえも、この想いを掻き消す事は出来なかった。
この曲はそんな未練たらしい男の、葛藤と決意の歌。
Life Is Gamble
恐らくこれを聴いている人の九割は何のことを歌っているのか全く分からないだろう。思考がフリーズしている事だろう。
分からない人にとっては退屈かもしれない、けれど分かる人は間違いなくガンフィンガーぶち上げな筈だ。
世間から冷たい目で見られ、クズと蔑まれし我が同志もとい養分達へ捧ぐ。
梅田
バトルでもない、バトルの為の練習場所でもない。此処には思惑なんて物は存在しない。
ただ「ラップがしたい」、その気持ち一つだけ。
そのシンプルな想いこそが10年続けられる理由だと確信してる。
毎週土曜梅田歩道橋、是非お越しを。
今の、君のままで
「コンプレックスを武器に」これぞヒップホップの精神。光と闇は表裏一体、何も隠す必要などないのです。
痩せたい。
You
ヒップホップシーンでは「ラブソングはダサい物」と頭ごなしに断罪する傾向がある。知ったこっちゃない。
固定観念に縛られず自分の気持ちに正直に歌う、むしろそれでこそラッパーだとすら思う。
幸せは時に大きな壁となってペンの行く手を阻むけれど、だからと言って諦めるでも無く無理にぶち当たる訳でもない。
時間をかけてゆっくりと乗り越えていこうかってな歌です。
浮上
孤独を抱え、心の闇に囚われている人に是非聴いてほしい一曲です。
安易に「未来は明るい」なんてそんな無責任な事は言えないけど、それでもきっと幸せってやつはどこかに在って。
今はまだ見えないかもしれないけど、自分自身がそうであったようにいつか見つかる日が来る。
だからなるべく心の闇に閉じ籠もらないで、少しづつでも良い方向へ進むイメージを持って。そんな曲。
理想のラッパー像を演じるよりも、自分のままで誰かの理想になれたらいいね。そんな曲です。
未来
怠惰に飲み込まれる事なく希望を捨てないでいれば、きっと。こんな俺でもここに辿り着けたんだから。
タバコやめたい
某ラッパーの某曲へのオマージュでありパロディ。某ラッパーの歌詞のストレートさが凄く好きで一時期どハマリしていまして。
そこで「自分も一度分かりやすい表現で超ストレートな曲を作ってみよう」と、ほんの思い付きで作った逆に意欲作的楽曲。
自分が大阪人だからかどうかは分からないけど、どうせやるならまんまでやるのも面白くないなと思い、その結果が「アナゴ食べたい」である。
実際そんなにアナゴが好きかと聞かれると別にそうでもない。
韻によって導かれたフレーズではあるものの、タバコをやめたい理由が沢山アナゴ食べたいからってのが単におもろいなと。
深く考えず頭空っぽにして聴いて下さい。
円
¥じゃない縁
梅田サイファーとは一体何なのか、「ふぁんく」にとって梅田サイファーがどういう場所なのか。
全てがこの曲に詰まっています。
それぞれの生活、それぞれの考え方、あらゆる要因が絡み合って時にはすれ違いもあれば居なくなってしまった人もいる。
それでもひとたびビートが鳴り円になれば、俺たちは一つの目的を共有する。それは離れ離れの点を繋ぐ線、それは個々の思惑や諍いといったノイズを一瞬で掻き消す。
「ラップがしたい」
それこそがスタートでありゴール。ただそれだけ、それ以上でも以下でもない。だからこそ梅田では俺たちは俺たちのままでいられる。
楽曲やライブはさて置き、少なくとも此処には成り上がりも売名もまるで存在しない。
いわゆる「現場」から忌み嫌われるのは、そういう所にあるのかもしれない。
「ヒップホップじゃない」って?知ったこっちゃない。なんとでもどうぞご自由に。俺らは相も変わらず土曜の歩道橋。
(無題)
自身の1stフリーアルバム、The Cuckoo's Nestに収録されている「クールランニング TX to LA」の続編となる今作。
前作は、田舎街テキサスからラッパーになる夢を抱きLAにやってきたトムことTexas Tと、生まれも育ちもLAのイケイケラッパーMac Pが出会い、同じ志のもとに夢を追いかける青春群像劇。
今作はそんな二人がそこそこ夢を掴んでからのお話。今や皆の人気者となった二人、けれど彼らの志はかつてのような純粋無垢な物では無くなっていた。
商業化されたラップ、作られたドラマ、そして束の間の快楽に堕ちていく。グループを脱退したDJ鈴木の悲痛な叫びが胸を打つ。
表と裏、光と闇。知られざるヒップホップの実情をコミカル且つシニカルに斬りかかる今作!
そしてまるで一本の映画のような臨場感と緊迫感を演出するはなんと言ってもこの二人、解説と実況を担当してくれたモロキューディップと清水 寺双竜
彼らの絶妙な掛け合いにも注目だ。
ちなみに今作にはタイトルがついていない。聴き方次第でこの曲の持つ意味合いは大きく変わる事だろう。
だからこそあえての無題。自分なりの解釈で、曲名をつける楽しみを味わってもらいたい。
そう、何故ならあなたもこの物語の一員なのだから。
キサイ ~そして俺は、神になった~
先ずアルバム特典として曲を作る上で、折角だから梅田の皆でマイクリレーをやりたいってのがあって。
アルバムの方でソロはやってるし単純にイケてる奴らとやりたくて、尚且つ楽しい曲にしたかった。
テーマは一応祭りだけどまあパーティチューンっぽいのが出来たらなってノリで作ってみたら、こうなった。
リリック書き始める時に自分の中で「祭り・パーティ」から連想する物はなんだろうって考えた時に、真っ先に浮かんだのが知る人ぞ知る名曲「オールナイト」で。
オールナイトはイルネストアール氏の曲…イルネストアール氏の名前はカクドアキオ…よし!カクドアキオでいこう!
そんなノリで書きました。(イルネストアール氏はかつて梅田サイファーに来ていたラッパー)
皆のバースはそれぞれちゃんと持ち味が出てて凄く良い仕上がり。
ただ、ガガ君に関しては最早どこがパーティなのか全く分からない
とりあえずこの曲聴いてアゲテケって話!
captivity / write by KZ
ふぁんくがスペースをくれたので、僭越ながら筆をとります。特典の「captivity」について、書くよ。
今や 10 年来の数少ない友人で、数えれるほどの好きなラッパーの 1 人、そんなふぁんく。
本編で腐るほど、ふざけた曲を作ったので、真面目な曲を作りたいと話した。
腰をすえて 2 人で歌詞を書くのは、「マイ・バック・ページズ」以来 4 年ぶりじゃないかな。
テーマは「仮釈放」だ。
ビートは dio j で Scaffold (俺とふぁんくの懐かしきクルー)が書くんだからお互い手に力が入った。
お互い、あの映画からのサンプリングを交えつつ、犬のクソみたいな平日とよく冷えたコーラみたいな週末を描ききった。
包み隠さず、胸を張って、自分の人生を讃える良い曲だ。
多くの人に聞いて欲しいから、昼時のランチテーブルの友達にも聞かしてあげてくれ。ぴーす。
最後に
これが2017年現在までに辿り着いた俺自身の最高到達点です。多くを語るより先ずは是非一度聴いて貰いたい。
噛めば噛む程に味が出るような、華はないけれど長く聴けるそんなアルバムになっていると思います。